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Vol.022 財団法人ベンチャーエンタープライズセンター理事長 濱田隆道第2話 門戸を開く
コラム(2) パーソナル・データ(2)
中央から地方へ
 ニュービジネス協議会に関わったのは約2年。その後は、3年間、鹿児島県の商工労働部長として地方のベンチャー企業と付き合うことになりました。しかし、地方でイノベーションを興そうというのはなかなか大変なことです。焼酎や大島紬など、特産品の売り込みを陣頭に立って展開するなどいろいろ手がけました。
 それから、産学協同センターを作って、鹿児島大学に産業の芽を育むための土壌整備にも取り組みました。そして、鹿児島から帰ってきた1997年からの2年間は、環境立地局で立地政策課長として地域政策に取り組みました。その後、ベンチャー支援と地域開発が、自分にとって大きなテーマとなりました。
 こうした関わり方を通じて地方の懐に入って活動しましたので、地方の疲弊というのは肌で実感しています。地域自身が自立的に発展していくにはどうすればいいかということを、ずっと考えてきました。企業誘致も一つの手段ではありますが、単なる生産拠点を作るだけでは、頭脳部分である研究開発やデザインを担当する人たちが来ない。誘致を上手く活用しながら地場で何かを興していくには様々な人材がいるわけです。農業と組むなど、地方の内発的な努力も必要になると思います。  

テクノポリス法に欠けていたもの
 国が地域振興策のプロトタイプとして1983年に作った「テクノポリス法(高度技術工業集積地域開発促進法)」は、対象業種がすべて記載してありました。米国にも、「シリコンバレークローニングポリシー」という、文字通りシリコンバレーをモデルに地域開発を行う動きがありますが、テクノポリス法のコンセプト自体は、それよりも早かったのです。
 しかし、業種指定という考え方が問題でした。政令で国がこういう業種がいいから集めてきなさい、という考え方は、うまくいきません。
 企業誘致の努力も重要ですが、やはり地方が自ら、自分たちの持っている強みは何かを考え、それに合致した企業群に資源を投入していくことが必要で、地域政策は、内発的発展をめざす、というのが一つの道なのです。

(12月19日更新 第3話「礎と俯瞰」へつづく)  




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