起業家・ベンチャーキャピタル・投資家を繋ぐコミュニティ・マガジン

Front Interview
第1話 第2話
第3話 第4話
Vol.031 株式会社ガバナンスビジョンズ代表取締役社長 小林久仁子第2話 疑問
コラム(2) パーソナル・データ(2)
バークレイズバンク証券管理部
 私は何ごとも自分からアクションを起こしていくタイプです。外資系企業に転職しようと思ったときも、「東京銀行にいる者ですが、新たなことに挑戦してみたいのです。そちらに何かポジションはありますか」と、いくつかの銀行へ電話で売り込みました。そうしたときにバークレイズバンクからオファーがあったのです。新しく証券管理部という部署を作るから、そのプロジェクトに参加してほしいという、私にとっては願ってもない話でした。
 実は東京銀行在職中から「次は証券の時代」と思って、証券を扱う仕事をやりたかったのです。しかし、社内で証券関連の部署に異動することはありえないことだったので、これは外に出るしかないと思っていた部分もありました。そこへ外資系銀行で証券管理の仕事ができる話をいただいて、双方のシーズとニーズがマッチしたわけです。
 バークレイズバンク東京支店には2年間勤務しました。証券管理部を一から立ち上げるわけですから、システムをどのように構築するか、オペレーションをどのように組み立てるか、どういう人間をどのポジションに配置するか、といった案件をイギリス人のシニアスタッフと作り上げ、最終的にスタッフ10人くらいの証券管理部を立ち上げることができました。ところが、何もないところから作り上げるのはものすごく面白いのですが、それが完成して稼動し始めると、また次に新しいことをやりたくなるのです。もちろん金融界での新しい仕事ですが、もっと金融の知識を体得したということが常に自分の中にありました。

君に何ができるのかね
 バークレイズバンクのあとにジャーディン・フレミング投資顧問に入社しました。イギリスのファンドマネジャーと打ち合わせをして、日本のお客様に商品のマーケティングをするという仕事でした。同時に経済のこともよく勉強しました。バークレイズバンクとジャーディン・フレミングという2つの外資系企業で、外国人と仕事をしたことは大きな財産になりました。外国人相手に働くことの大変さ、外国人の仕事のやり方を通して、やはり語学の重要性を再確認したわけです。常に英語で仕事をする環境に置かれていましたし、それも表層的な英語ではなく、内容のある英語を要求され、それをしっかりと話さないとまったく仕事にならないというのはとてもいい経験だったと思います。
 外資系企業は日本企業ほど仕事上での男女差別はありませんでしたが、銀行や証券といった金融の世界はやはり男性社会です。どこの会社でも多かれ少なかれ、女性社員は「この仕事をやりなさい」という1つの枠にはめられるわけです。そのことに対して、何度も上司と衝突したことがあります。あるプロジェクトで私が意見をいうたびに「君に何ができるのかね」とオウム返しのようにいわれたものです。
 バブル時代はファンドをたくさん売る仕事をしていましたから、「ファンドを売るためにはこういう仕掛けで外国人のファンドマネジャーにプレゼンさせたらどうでしょうか」と日本人の上司に提案をすると、「女のくせに、何もわかっていないくせに」とことごとく却下されて、ずいぶんと悔しい思いをしました。挙句の果てには「証券ファンドを売るのは男の仕事。麻雀やゴルフの席で決まるものさ」と聞かされたときはショックでした。




HC Asset Management Co.,Ltd