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Front Interview
第1話 第2話
第3話 第4話
Vol.033 リッキービジネスソリューション株式会社 代表取締役 澁谷耕一第2話 使命
コラム(2) パーソナル・データ(2)
興銀の看板を外して
 今まで興銀の看板を背負って仕事をしてきたのだと実感したのは、退職後、興銀時代に交流のあった方ともなかなか会うことができなくなったことからです。これは不思議な現象でしたが、後日「何か問題あって退職したのでは」という疑いを持たれていたことを知りました。澁谷と付き合うと興銀やみずほ証券との取引に差し障りが出るのではと思われていたらしいのです。大きな会社を辞めると、日本ではまだまだそういう見方をされるということです。ベンチャービジネスを起業したい、社会に貢献したいと思って会社を辞めても、世間からは「何かトラブルを起こして辞めた」と思われる、これは偏見です。私が退職した事情を知っている方は別ですが、知らない人は「なぜ銀行を辞めたのだろう」といろいろな当て推量をするものだと思いました。
 一方で、心に沁みたのは、人のご縁のありがたさです。起業してどんな仕事ができるのかもわからない私に、プラスの今泉会長やフューチャーアーキテクトの金丸会長、ユウキ食品の田中社長が顧問契約をしてくださったのです。厳しい立ち上げ時のこれらの契約で、足掛かりを作らせていただいたのです。このご恩は一生忘れることはありません。
 日本の中でも伝統的な銀行に24年間勤務していた私が、単身で起業するというのは、大きな変化でした。その落差に愕然としたこともあります。興銀時代は経営者も普通に会ってくれました。ところが、その看板がないと今度はなかなか会ってくれないのです。起業当初は「リッキービジネスソリューションの澁谷です」と企業経営者の方に電話しても、「何ですか、それは」とまったく取り合っていただけないこともありました。しかし、ここでへこたれるわけにはいかないと、いろいろな戦略を考えたわけです。

銀行員向けセミナー
 新たにはじめた経営者と銀行の橋渡し的な役割を担うビジネスも、経営者と接点を持てないとなれば、もう一方の銀行へのアプローチから始めようと方向を変えました。まずは、銀行から信用を得る目的で、各銀行の支店などで行員向けの法人営業セミナーを無料で開催することにしました。
 興銀時代の経験を活かして、行員の人たちに向けて、こういう方法で営業すると経営者の方が信頼してくれますとか、経営者はこういうことで悩んでいますとか、いろいろな法人営業に役立つレクチャーを行い、経営者から少しずつ銀行の信用を作っていけるノウハウを講義していったのです。もちろん、当社がどういう会社なのか、資料を配布して説明することも行いました。このようにしてセミナーを通して銀行から弊社への信用を勝ち取っていくことで、徐々に銀行の方から企業を紹介していただけるようになりました。
 経営者の方が融資のことで銀行へ相談に行きます。支店長から「融資する資金の使途と返済が可能であることを示す事業計画書を提出してください」と言われます。「その計画書はどのようにして作成するのですか」と聞かれたら、「リッキービジネスソリューションという会社がありますから、そこをご紹介しましょう」という流れができてきたのです。




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