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Vol.001 株隙会社エムアウト 代表取締役社長 田口 宏第2話 経営者が目指すべきもの
コラム2“Mentor” パーソナル・データ(2)
マーケットにとっての利益を考える
 ベンチャー企業のオーナーの方々のプレゼンを聞いていると、マーケットのことなど何も考えていらっしゃらないなと思ってしまう人が多いんですよ。こういうふうにして儲けるんだという話はいっぱいなさるけれども、それがマーケットにとってどれだけメリットのあることなのかという話はほとんど出てこないんですよ。
  そもそも企業というものは、マーケットにメリットを提供するからこそ存在理由があるわけですよ。お客様は何も企業家が金持ちになるために物を買ってくれているわけじゃないですからね。自分達にメリットがあるからこそ買ってくれるので、それは当たり前の話なんですけど、今のベンチャー経営者でそのように考える人はひじょうに少ない。したがって、成功の確率も低いんでしょうね。
「やっぱりマーケットの利益を考えなきゃいけないんですね」ということに2億円も3億円も使ってようやく気がつくのですね。それは初めての経験だからしようがないところはあるかもしれないでしょうが、これだけベンチャー企業が失敗を重ねていっても、ベンチャーキャピタルでそういう失敗の事例やノウハウを蓄積してるところがどこにもないんです。

時価総額1千億円以上の企業を作る
 われわれは少なくとも時価総額が1千億円以上の一部上場企業を作ることを目標としています。これまで見てきて、ベンチャー企業のほとんどがスモールビジネス狙いなんですよ。まず、目先の利益を取りに行くわけですから。時価総額1千億円以上の上場企業になる確率は1000に1つか2つという話になってしまうんですね。エムアウトでは最終的には100%になるような仕組みにしたいのだけれども、とりあえず目標としているのは、2つに1つ、つまり50%。
  よく例に挙げるのが、結婚式。一生に1回のことだから自分がやるのじゃなくて、専門家に任せたほうがいい。そこでブライダル産業がすごく発達したわけですよ。起業もこれは一生に1回あるかどうかということですから同じです。また、ブライダル産業が結婚式をトータルで考えてくれるように、起業を総合的に考える起業産業があっていいだろうと。ところが、現状はベンチャーキャピタルはお金だけ、コンサルタントはプレゼンテーションだけ、人材会社は人間の問題だけ、法律事務所はコンプライアンスだけ、会計事務所は経理だけと、そういう提供の仕方しかされていません。ベンチャー企業側に立ってトータルで考えてるところがひとつもないのが現実です。

トップがすぐに交代できる体制
 だからそれをやろうと。つまり「起業専業企業」。起業専業企業になってわかってきたことは、ベンチャーは完全に反面教師だということです。ベンチャーのやっているのと同じことをやっていると1000分の1の確率になってしまうわけですから。それじゃ、飯は食えない。彼らのやってないことをやらなきゃいけない。
  たとえば、ベンチャー企業はだいたいがワンマン経営ですね。だから社長がおかしくなると会社自体もおかしくなっていく。そういう会社は社長が成長した分だけしか大きくなれない。だからワンマンマネージメントじゃなくて、チームマネージメントじゃなきゃいけない、あるいはグループマネージメントじゃないといけないと言っています。トップクラスっていうのは必ず3人から5人のチームでやりなさい。しかもトップがだめだとすぐ交代できる体制を作っていかなきゃいけないのです。




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