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Vol.001 株隙会社エムアウト 代表取締役社長 田口 宏第4話 何に投資をしていくべきか
コラム4“Exit” パーソナル・データ(4)
お金を稼ぐのではなく、お金を有効に使うこと
 僕は会社をはじめた頃からボーナスをうちに持って帰ったことがないんですよ。全部自分の会社の株に換えてたんですね。結果、会社が上場することで、まとまったお金を手に入れることができるようになったわけです。最初に資本金がたっぷりあって、当時のお金を使ってしまっていたらこうはなっていなかったでしょうね。ミスミは持ち株制をずっとやっていましたけれども、社員たちはみんな株で貰ってもしょうがないと嫌がっていたんですよ。でもあとになって株で貰っておけばよかったって言ってもね。
  お金というものは、みんな稼ぐことばかりを考えているけれども、お金を稼ぐのではなくて、お金を有効に使うこと、今あるお金をいかに活かして使えるのかということを徹底的に考えていけば、結果としてそれを活かして使ったところに、またより大きくなって返ってくるというのが正直な実感ですね。

お金は活かして使える人のところへ集まっていく
 とは言っても、お金をほんとうに活かして使うというのは、ひじょうに難しいことですね。だから、お金がたくさん入ってくるっていうのは、、それを活かして使える人のところへ集まっていくのが、基本的な原理なんだろうと思いますね。
  だから、そうじゃない人のところへ急に入ってきたりすると、これ、人間がおかしくなってしまう。よくある話ですが、地域開発などの補償金で、それまで持ちなれないような人が一夜にしてすごい大金持ちになることがありますよね。ある知人はそういう人のところへ行ってクルマを売ってましてね。ところが売りつける先の人はまだ免許も取れてないんですよ。それでも売っちゃう。それで1年たつとまた行って、まだ免許を取れていないのに新しいのに変えましょうと平然と売りつける。接待攻勢で。銀座へ連れてって飲ませたりしているわけです。寄ってたかってむしり取ってしまう。結局、金がなくなった時には、本来の仕事も何もかも、人間すべてが完全にだめになってしまうらしいですよ。

お金の使い方の難しさがわかる
 今のベンチャー経営者を見ていると、みんな若くして成功して、早く金持ちになりたいって言いますよね。あとは楽して遊んで暮らしたいとか、投資でもやって優雅にいきたいとか、そういう人がひじょうに多いように思うんですね。でも、あまり若くして金持ちになることが、ほんとうにいいいことかどうか疑問ですね。
  ミスミが上場して、僕が幾分お金持ちになったのは1994年ですからね。今から11年前です。57歳でした。なにも遅いからいいっていうわけじゃないんですよ。ただその年齢だったからこそ、お金の使い方の難しさがわかったということは事実です。



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