起業家・ベンチャーキャピタル・投資家を繋ぐコミュニティ・マガジン

Front Interview
第1話 第2話
第3話 第4話
Vol.007 株式会社ドリームインキュベータ 代表取締役会長 堀紘一第3話 成功の可能性、失敗の可能性
コラム(3) パーソナル・データ(3)
原因他人論と日本の産業構造
 ある会社から相談を受けて、まず最初に社長に会って話を聞いたのです。そこで、「うちの取締役連中は、取締役としての仕事をしていない」と部下の批判が出てくるのです。次に、何人かの取締役に会って話を聞くと、彼らは一様に「うちの部課長連中がダメだ」と言うのです。それではということで、部課長の人たちに会って話を聞くと「うちの社員がダメなんだ」と言い始めるのです。つまり全員が全員、「下が悪い」と言うわけです。しかも、そう言った本人達たち、自分自身に問題があるとはこれっぽっちも思っていないのです。
  僕はこうした現象を「原因他人論」と名付けています。こういう状態になってしまう会社は結構多いのです。しかし、日本の大企業がすごいのは、こういう組織になってしまっても倒産せずに事業を続けていけるところ、これには逆に感動すら覚えますね。
  読売新聞に4年半、三菱商事には留学期間が2年ありましたから実質5年間お世話になりました。そして、ボストン コンサルティング グループも5年ぐらい経ったら辞めるのだろうなという、予感のようなものはありました。でも5年経ったら副社長になっていました。それからまた3年経ったら日本法人の社長になってしまったのです。責任のある立場になってしまい、それこそ辞めるに辞められなくなってしまったというのが実際のところでした。

中小企業にコンサルティングを
 中小企業の社長の方々にもたくさんお会いしました。彼らからよく聞いた話が、「あなたのやっているようなコンサルティングは、本当は我々中小企業にこそ必要なものなのです」ということでしたね。
  当時は「どんな企業でもコンサルティングします」と表向きは言っていましたけれども、実際のコンサルティング料は、最低でも月1,600万円から3,000万円くらいかかるので、中小企業ではとても払いきれる金額ではありませんでした。
  中小企業を相手にする、町コン(町のコンサルタント)と称されるコンサルタントもいますが、経験と勘だけに頼っていて、あまり科学的とはいえないところが多いのが実情でしょう。そのような現実を実際に見聞きしてきただけに、いつかは中小企業のためのコンサルティングに親身になって取り組んでみたいと考えるようになっていきました。




HC Asset Management Co.,Ltd