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Front Interview
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Vol.024 スパイクソース株式会社 CEO キム・ポレーゼ第1話 科学の子
コラム(1) パーソナル・データ(1)
科学者の道へ
 私は公立の高校に進んだ後、1982年、カリフォルニア大学のバークレー校に進学しました。生物学・物理化学とソフトウェアの関係、つながりというものに感心を抱いたのが進学の理由で、専攻は「生物物理学(バイオフィジックス)」でした。その後、ワシントン大学で情報と計算の理論的な基礎と、コンピュータシステムへの実装および応用に関する研究を行う「コンピュータサイエンス」を学びました。
 生物物理学は、物理学的な観点・手法で生命現象を研究する分野でしたが、この2つの分野には関連があります。たとえば、X線回折による構造解析を行うMRIや人間の脳の神経細胞(ニューロン)の働きを模倣するニューロネットワークなどのように、ソフトウェアを使って物理化学のアプリケーションを生物に応用するという研究領域でした。
 バークレー校では素晴らしい先生と出会い、初めてソフトウェアとプログラミングについて教わりました。私自身がその後の仕事において、技術的な側面からプロダクトを見るという素養を培ったのは、この先生から受けた影響が大きかったと思います。先生に教わった後、自分が8歳の時にイライザと出会った科学の殿堂ローレンスホール・オブ・サイエンスで、今度は私が子どもたちに教えることになりました。パートタイムでしたが、とても楽しい経験をしました。

世界を変えるテクノロジー
 イライザというアプリケーションは、AIと呼ばれる人工知能の先駆けとなるものでしたが、そのプログラムと対話した8歳の時の経験がきっかけとなって、現状を一変するような最も革新的なテクノロジーというものに次第に関心を持つようになりました。
 私が社会に出て初めてシリコンバレーで勤めたのも、人工知能の開発を行っているソフトウェア会社でした。その会社では、専門的なシステムを構築して大手企業に提供するということを行っていました。その時の仕事も、またその後に勤めることになるサン・マイクロシステムズにおける仕事でも、私自身の関心は、常にイライザのような状況を一変してしまうような破壊的な力を持った技術にあったといえます。
 現状を打ち壊し、新しい状況を創り出すような革新的なテクノロジーを使って世界を変えていきたい。たとえば、仕事の効率性を高め、非効率的な作業に煩わされることなく、真のイノベーションに至るような創造的な仕事に取り組むことができ、自由で発展的なコミュニケーション、コラボレーションを可能にする、そのようなテクノロジーの開発をめざしたいと考えてきました。そのために、優秀で情熱を持った人々と仕事をし、革新的なテクノロジーを使って、私自身のやるべきミッションを完遂しながら、今までとはまったく違う何かを創り出すということに取り組んできたのです。



(2月13日更新 第2話「JAVA」へつづく)




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