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Front Interview
第1話 第2話
第3話 第4話
Vol.027 株式会社ライトレール 代表取締役社長 阿部等第2話 熱意
コラム(2) パーソナル・データ(2)
そろばんの糧
 今までの46年間の歩みを振返った時、小学生時代にそろばんを習ったことが、私の人生の礎となっています。暗算で4桁×3桁の掛け算ができ、珠算3級を暗算で受験して合格しました。暗算が得意なおかげで、算数は常に得意科目となり、時刻表を見て主要駅間の距離や、列車の所要時間に応じた平均速度をすぐに計算でき、鉄道や日本地理への興味が広がりました。
 計算が素早く正確にできることはどの科目にも優位に働き、中学の受験勉強をあまりしなかった割には、御三家と言われた武蔵中学に合格できました。今でも、どんな事柄に関しても、数量的な解析やシミュレーションを人一倍素早くできる自信があります。精神科医で数々のベストセラーを書かれている和田秀樹さんも小学生時代にそろばんを習っていたそうで、そろばんの効用は大きいと思います。
 鉄道に関心を持つようになってからは、鉄道の雑誌や単行本を多数読み、多くの知識を身に付けました。特に、東大電気工学科の曽根悟先生の記事からは多くを学びました。時刻表も、一時は毎月買っていました。

武蔵中学・高校
 自由そのものの学校でした。制服はなく、授業中に寝ていようが、昼休みに麻雀をしようが、お咎めなし。その代り、究極の自己責任で、成績不良だと落第または転校になります。
 手取り足取りの進学指導はまったくありませんでしたが、友達同士のライバル意識は強烈で、東大に合格できるくらいの勉強は自分でやって当り前という雰囲気でした。同期の卒業生178名中79名が東大(うち6名が理3)へ進み、残りも大半が有名大学へ進学しました。バレーボール部のレギュラー6名は4名が東大、2名が一橋大学に進学し、それぞれの道で活躍しています。人というものは、刺激を受ける場に入り、そこから逃げずに努力すると力を発揮することを学びました。
 クラブ活動も、大学生OBが代々、後輩の面倒を見る習わしでした。私は、大学1年生から修士1年生まで5年間、バレーボール部のコーチを務めました。その間のスポーツ習慣が今でも役立ち、同年代の中では身が軽い方だと思います。時々、自分の年の半分以下の後輩と一緒に汗を流すこともあります。

3年間6万キロの自動車運転
 闇雲に鉄道を信奉するのではなく、自動車の利点や欠点も身をもって体験しようと、大学1年生の秋から4年生の秋までで6万キロを運転しました。1年のうち350日くらいハンドルを握りました。都内をはじめ東北や北海道、関西方面の様々な道路を、昼夜あらゆる時間帯に走って感じたのは、道路をいくら作っても渋滞は永久になくならないということでした。
 また、自動車に万全の安全を求めるとしたら、自動車が今のような低コストではあり得ません。車がレーンから外れないようにする、居眠り運転したら確実に検知する、車間距離や速度制限を必ず守る、そういったシステムを導入するには膨大なコストがかかるのです。
 さらには、自動車は鉄道と比べてはるかに土地利用効率が悪いのです。ロサンゼルスが典型です。ロスは高速道路の充実で有名ですが、人口密度が東京より低いにも関わらず、道路渋滞と駐車場不足で日々苦しんでいます。都市面積の3分の1が道路、3分の1が駐車場で、人間の活動場所は3分の1のみなのです。




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