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Vol.032 株式会社船井本社 代表取締役会長 船井幸雄第4話 良心

人間性向上の仕組みを支える心
 ここ数年は食品偽装や経費等の不正計上、改ざんなど、企業家も政治家も役人も自分の都合や目先の利益を優先して、悪事や不正を働く事件が頻発しています。これまでの社会は自己の良心を貫くことよりも、要領よく立ち回ることで富みを得るケースが少なくなく、必然的にそうしたテクニックを身に付けた人間が何かと得をしてしまう時代でした。しかし、こうした時代は終焉を迎え、時代は「エゴ中心」から「自他同然」へと移行し始めていると思えます。今後は良心に従う生き方の重要性や必要性が見直されることでしょう。
 良心とは「他者への愛を主張し、ときには自己犠牲をも厭わない心」です。それは人間としての特性ですし、長所でもあるのです。しかしながら、人間はエゴから完全に脱却できず、矛盾に満ちた心を抱えています。だからこそ、常に自分の良心に問いかけ、対話をして、善悪を判断するクセをつけることが必要です。良心が下す判断は、そのときにその人にできる最高レベルの決断だと言えるでしょう。
 良心は「人間性向上の仕組みを支える心」とも言えます。人間的成長と良心との対話のサイクルによって、人間は無限に向上していくものです。人間として成長していく過程で、良心の声に耳を傾け、良心に恥じない行為を心がけ、良心に従うクセづけをすることが大切だと思います。

世のため人のためになることをやる
 船井グループは現在70余社になりましたが、私は70歳を機に経営の第一線から退き、船井本社代表取締役会長の役職以外はグループの顧問という肩書きしかありません。グループ各社のトップは、私が説く船井流経営哲学を理解し、それを実践してくれていると思っています。哲学のポイントは「世のため人のためになることをやるべきで、ためにならないことはやらない」ということです。特にトップの人間は、すべての人が納得するような行動をとらねばなりません。実はこれが日本流の経営法そのものなのです。政治家でも企業家でも、「世のため人のため」と行動する人がたくさん出てくれば、素晴らしい社会が構築できると思います。
 例えば、年功序列や終身雇用制など、日本が培ってきた雇用制度にもっと自信を持ってよいと思います。アメリカ流の成果制度を導入してもうまくいかないのは当然の結果です。日本人の国民性に合った経営を構築し、日本人の特性を活かしたことが肝要なのです。一時期、アメリカ流の市場原理主義や株主第一主義などに乗り、時代の寵児となった人もいましたが、ほとんどの人が失墜しています。
 個人個人では力不足でも、集団になるととてつもない実力を発揮できるのが日本人の特性です。あうんの呼吸、以心伝心といった不思議なパワーを持っている日本人だから成せる技なのです。こうした日本人独特の力を今こそ発揮すべきだと思います。どうやらその後押しをすることが、いままで私の本来の人生だったようです。これからは今生の使命に向けて進みます。それについては8月になり病気が快方に向かってから書いた2冊の近著『有意の人』(徳間書店刊)と『生きる!!』(あ・うん刊)で詳しくふれていますので、ご一読ください。

次号(2008年11月5日発行)は、リッキービジネスソリューションの澁谷耕一さんが登場します。



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