【森本】 村口さんの場合ですと、投資後の活動としては具体的にどのようなことをなさっているのですか。
【村口】 創業したあとは社外取締役になりますが、その際には取締役会に出ても財務の話は全然しません。どういう技術でどういう商品を生み出そうかという進捗状況の話しかしていません。あとは、人材やコンセプトワークの話ぐらいですね。これも、組織型ベンチャーキャピタルとは違う点だと思います。
【森本】 そういったスタートアップの案件や実際に投資してくれる出資者は、どうのようにして見つけているのですか。
【村口】 案件は人づてがほとんどです。ファンドの告知とか募集については、ワン・バイ・ワンです。いままで面識のない人に話をもって行って、直接投資を募る形でやっています。今ではいろいろお世話になっている堀場製作所の堀場雅夫さんも、最初はどんな人か知らないで会ったくらいですから。いまでも、できるだけお金は少なく、ファンドは小さく、組合員も少なく、で、経営者と投資家に密着した付き合いを継続しながらやっています。出資者は、最近は機関投資家も4社入っていますが、あとはみな個人です。
【森本】 機関投資家と個人の出資比率は、どうなっていますか。
【村口】 半々くらいですね。
【森本】 個人の投資家は何人ぐらいいらっしゃるのですか。
【村口】 100人くらいですね。100万円単位で参入している人もいますからね。大口では20人くらいですね。それ以上の人数になると付き合いきれなくなりますから、規模としてはこれくらいを維持していきたいと思っています。人とコミュニケーションを取れる形で進めていこうと思うと、投資家もそうですが、投資先もせいぜい20社くらいまでが限度です。それでも丁寧にコミュニケーションを取るには多いかな、という感じがします。
【森本】 1社当たりの投資額はどれくらいになるのですか。
【村口】 平均すると4億円くらい投資していますね。
【森本】 投資先で倒産したところはないのですか。
【村口】 それはありません。つぶれそうになったところはありますが。借金をしないかぎり、会社というものはつぶれないものです。予算が枯渇するだけで。だから、ベンチャーは絶対つぶれないといっていいと思います。活動が低迷するかしないかだけです。だから、こちらとしは、その低迷しないための軍資金を提供していくわけですね。
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