起業家・ベンチャーキャピタル・投資家を繋ぐコミュニティ・マガジン

VC vision
前編 後編
第26回 インテグリティ、イノベーション、インキュベーション 後編 リスクという名の可能性
ngi capital株式会社の特徴は、
その投資メンバーに起業経験者をそろえていることである。
ngi capitalは、新たな事業化を進める際に
起業家たちが求めるあらゆるサポートを、
事業者としての目線でリソースの提供を行っている。
後編では、アーリーステージから起業家と一緒になって
新ビジネスの事業化に取り組む
ngi capitalの投資スタイルを解き明かしていく。

interviewer:森本紀行(ベンチャー座アドバイザー、HCアセットマネジメント代表取締役社長)
パートナーズ主な投資先事例
中立的な立場でアーリーステージへの投資を

【森本】 ファンドレイズの告知や募集は、どのようになされていますか。
【金子】 ファンドレイズについては、これまでの投資家の方々に直接ご提案しているだけで、とくにプロモーションなどは行ってはいません。
【森本】 出資者には、ベンチャーキャピタルも多いのですか。
【金子】 はい。ベンチャーキャピタルにとっても、また、事業会社にとってもそうだと思いますが、彼らが投資しづらいアーリーステージの案件を、我々を通じて投資しているという側面があると思います。彼らにとってはディールソースの一環というイメージですね。最初に取りにくいリスクを我々のファンドを通じて取っているということになっています。
【森本】 LPはどのようなところをターゲットにしていますか。
【金子】 1号ファンドのLPは事業会社とベンチャーキャピタルで、2号は機関投資家とベンチャーキャピタルになっています。今後は、機関投資家から投資対象となるファンドとして高い評価をいただくようにしていきたいと考えています。あと、日本以外からの資金調達にも取り組んでいきたいと思っています。
【森本】 海外の投資家の照準はどこに定めていますか。
【金子】 グループ全体としての話になると思いますが、アジアへのシフトが進んでいます。資金調達の市場としてもアジアを取り込んでいく魅力は大きくなっていると思います。
【森本】 ngi groupが中国で共同の投資会社を作られたという話も聞いていますが。
【金子】 中国の胡錦濤主席の出身母体で中国共産党青年団という組織があるのですが、我々はその中国共産党青年団の人たちと親しくさせていただいています。中国共産党青年団と、中国で今成長しているといわれる投資会社と、ngi groupの3者が共同出資したジョイントベンチャーを作ることに合意しました。この背景には、日中韓の若手の経済人が集まるフォーラムがあるのですが、小池聡がその日本の代表に選任され、それがきっかけに交流が始まりました。
【森本】 ngi capitalの現在の布陣をお聞かせください。
【金子】 代表取締役会長が小池聡で、社長が私、キャピタリストは、パートナーが2名、プリンシパルが2名、アソシエートが2名、その他スタッフ数名による体制です。(2008年3月1日時点)
【森本】 投資した企業数は何社ですか。
【金子】 ファンドの投資先は約70社になります。ただ、ファンド設立以前から関わっていて現在はイグジットするのを待っているだけの企業もありますので、実際にメンバーがアクティブに関与している企業は40社ほどです。
【森本】 案件の発掘はどのようになさっているのでしょうか。
【金子】 基本は紹介です。我々はアーリーステージへの投資を、ある意味中立的な立場で行っていますので、投資先の経営者の方々が、創業を考えている友人、知人の方々に、ngiなら相談に乗ってくれるよ、と話してくれるケースが多いのです。そうした経緯でご相談を受けることが少なくありません。あるいは、創業されていても、まだどこのベンチャーキャピタルとも接触のない経営者とお会いすることも多いですね。

一緒にビジネスをしたいと思える経営者

【森本】 紹介だけで件数は増えていくものなのですか。
【金子】 案件は件数もクオリティも上がっています。ファンドを設立してから、メンバーの全員で共有して把握している案件数は500件ですが、個々人が抱えている案件がさらに数倍規模でありますから、少なくはないと思います。
【森本】 投資先の経営者が積極的に紹介してくれる理由は何だと考えていますか。
【金子】 経営者のみなさんにしても、やみくもに紹介しているわけではないと思います。やはり、信頼している人を、信頼できる投資家として我々に紹介してくれているわけで、そうしたサイクルはできてきていると思います。
【森本】 ngi groupが上場したことでの影響はありましたか。
【金子】 紹介案件の数でいえば、増えてはいますが、上場後に極端に増えたということはありません。ただ、webでの問い合わせは、上場してから非常に増えています。
【森本】 案件の審査の流れはどのようになっていますか。
【金子】 まずは、経営者にお会いしてビジネスプランを拝聴します。ただ、我々は、プラン内容や数値だけでその企業を評価することはしません。マネジメントチームが、この人なら一緒にビジネスをしたいと思える経営者であれば、何らかの形で投資に結びつけることができないか、その可能性を模索するようにしています。どうしたらそのビジネスがうまくいくかを考えて、最終的な判断をするようにしています。我々が案件の審査で最も多くの時間をかけるのは、その点になります。
【森本】 審査する案件を実際に投資するまでに、どれくらいの期間をかけていますか。
【金子】 ビジネスプランにもよりますが、一緒にプランを作りながら話を進めると3ヵ月程度はかかります。コストパフォーマンスでいうと問題がないわけではありませんが、アーリーステージのベンチャーへの投資が我々の理念ですから、それを粛々と実践していくことだと思っています。
【森本】 最終的な投資決定の判断は、どのようにしてなされるのですか。
【金子】 それは、投資委員会で決定いたします。メンバーは、小池聡と私とパートナー2人の4名です。案件によってはLPの参加もあります。見るポイントは、経営者の人間性のほかに、市場のポテンシャルとその企業の事業が市場の可能性をちゃんと見据えているかどうかです。それと、我々が重視するのは、投資案件をあげてきた担当者のコミットメントですね。担当者が熱意を持ってやりたい企業であることを大事にしています。



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