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Front Interview
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Vol.020 IBM Venture Capital Group 日本担当 ベンチャー・ディベロップメント・エグゼクティブ 勝屋 久第3話 キャピタルとは何か
コラム(3) パーソナル・データ(3)
イノベーションは外にある
 Venture Capital Groupは、きっちりとした組織というより、バーチャルな形態をとり、やる気のある人が手を挙げて拠点を作るといった具合に自然増殖的に増えている面があります。最近ではアイルランドで組織化されたりしてます。
  この米国のグループのユニークな点の一つは、メンバーの70%が女性ということでしょう。私の上司でグループのマネージングディレクターであるClaudia Fan Munce氏も、台湾生まれでブラジル育ちという経歴を持ち、スタンフォード大学でMBAを取得した研究開発バックグラウンドの女性です。最近は一堂に会する機会も少ないのですが、2000年にスタートした頃からのメンバーは、「IBMはどうベンチャー企業に向き合っていくべきか」、「IBMのバリューを高めていくにはどうすべきか」という問題意識を常に共有していますし、「イノベーションは外にある」を合い言葉に積極的に社外に出て行っています。
  Venture Capital Groupに所属してからの私の仕事は、ベンチャーキャピタルの皆さんと関係を築くことでした。幸い、ネットジェンの頃からベンチャーキャピタルのキーマンの方々とは親しくなっていましたから、その点では何か新しい仕事に取り組むという特別な意識はありませんでした。

ベンチャーキャピタルとのネットワーク

 ただVenture Capital Groupといっても、日本のメンバーは私1人ですし、IBMでもこれまでにない本格的なコーポレートベンチャー活動でしたから、まずこの活動を認知して貰うことが最初の目標になりました。そのために仕掛けたのが情報提供とネットワーク作りを目的としたセミナーやイベントの開催です。日本IBMは静岡県の伊豆天城高原に経営者向けのセミナー施設を持っているのですが、ここを会場にしてベンチャーキャピタルやベンチャー企業の方を集め、皆さんが興味を持つような情報提供をしたり、ネットワーク作りのお手伝いをしようと考えたのです。また米国・欧州・中国でもVenture Capital Groupのイベントを開催して、日本のベンチャーキャピタルの方々にもご招待させていただきました。
  内容は基礎研究所のスタッフが最新テクノロジーの動向、IBMの洞察やベンチャー企業とのパートナーリングやIBMの経営について話したりし、またベンチャーキャピタルの方々とのパネルディスカッション、ネットワーキングディナー・パーティも行います。ときには日本IBMの最高顧問の北城恪太郎さんや代表取締役社長の大歳卓麻さんも積極的に参加いただきコミュニケーションミーティングをすることもありました。そしてイベントが終わってからベンチャーキャピタルやベンチャー企業の経営者の方に、「とても有意義な時間でした」と感謝されました。
  こうした催しは多いときで年に5回ほど開催しましたが、そこではIBM製品の売り込みなどは一切行わず、良好な関係を作ることに注力をしました。しかし実績がなければ社内からも認められませんから、最初のうちはその場で人を紹介していただいてアライアンスの案件を作るということを行っていました。今では、徐々に社内にもネットワークや協力者が増えていき、パートナーシップ構築にも大きな貢献ができるようになっています。


(10月24日更新 第4話「人と人と人と」へつづく) 




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