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Front Interview
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第3話 第4話
Vol.020 IBM Venture Capital Group 日本担当 ベンチャー・ディベロップメント・エグゼクティブ 勝屋 久第4話 人と人と人と
コラム(4) パーソナル・データ(4)
イノベーションは人から
 しかし投資をしないということは諸刃の剣でもあります。お金が絡まない関係だと、私が何か間違ったことをしたり、言ったりすれば人間関係などすぐに終わってしまうからです。担当者が変わったり、やり方が変わることでも同じ事態は起こります。ですから社内的には「活動の継続性が大切です」と常にいっています。
  私が出会うベンチャー企業のすべてがIBMにマッチするわけではありません。しかし、若くて志が高く、将来有望なベンチャー経営者と出会い、相談を受けたときには、他の事業会社に人ベースで紹介したりすることはよくあります。(もちろん、マッチングがうまくいきそうだと思えることが前提ですが)。その方がお互いに幸せになれますし、そのことによって新しいアライアンス(提携)が生まれることにもなります。
  私が今、個人的に力を入れているのが「Venture BEAT Project」です。 というのは、Venture Capital Groupの仕事はベンチャーキャピタルと協力して優れたベンチャー企業を発見・発掘し、それをIBMの事業部に紹介することですが、多くのベンチャー企業を見ているうちに気づいたことがあったからです。それは、日本IBMのような事業会社にはそれぞれ多彩な人材がいますが、とくに仕事のプロフェッナルで多くの人(お客様・周囲の人たち)に愛されている人と、人的にもビジネス的にも素晴らしいベンチャー経営者が出会うことで、そこから新しいビジネスだけでなくイノベーションが起こりそうな感じがするからです。人と人の出会いが「化学反応」を生むのです。そしてこれまで見てきた数々の「化学反応」を日本 IBMだけでなく、組織・企業の壁を超えておこすことができたら、すばらしいと思い、このプロジェクトを立ち上げました。


感謝する心、素直な心

 日本IBMに入社してから、実に数多くの企業や経営者とお会いしてきましたが、ベンチャー経営者の方からは、どのようにすれば会社を成長させることができるのか、また成長を持続させられるかということをよく質問されるます。今まで多くの素晴らしい経営者と深く接してきた自分の経験から、成功する会社の経営者は次の3つのものを備えていると思います。
  社会へ価値をもたらす事業は前提となりますが、まず、なんの迷いもなくひたすら突き進むエネルギーが強いこと。そして、すべてにチャンスがあると思い、ポジティブに考えられる力があること。最後に、いつも感謝する気持ちを持つことと思ってます。ポジティブで強いエネルギーを持った方が経営する会社は多いですが、敢えて、感謝する気持ちを条件に挙げたのは、何事にも誠実で素直であり、感謝の気持ちをもった経営者は魅力的で、自然と支援者が集まってくるからです。支援者はお金だけではなく、情報や経営知識といった面での支援もしてくれます。
  誠実でなく素直でない経営者も、ビジネスがうまくいっているうちは多くの人が集まってくるかもしれませんが、状況が悪くなると皆一斉に周りから消えていきます。しかし、誠実で素直で、感謝する心を持った経営者なら、辛いときや苦しいときにも「支援してやろう」と人が集まってきます。そして最後にはこういった企業が成功すると信じてます。私自身いくつもそうした例を見てきましたし、個人的にもこうした会社を心から応援していきたいと思います。



次号(2007年11月7日発行)は、株式会社アドウェイズ 代表取締役社長兼CEOの岡村陽久さんが登場します。




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