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Front Interview
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Vol.021 株式会社アドウェイズ 代表取締役社長CEO 岡村陽久第3話 リスクテイク
コラム(3) パーソナル・データ(3)
価格破壊というブレイクスルー
 事業をするには、まずシステムがなければならなかったので、近くにあった日本コンピュータ学院の前で、出入りする学生を一人一人捕まえては「メール向けの広告のシステムが作れるか」と聞いて回りました。ある学生が「できる」と答えたので、彼に50万円を渡しシステムを組んで貰うことにしました。しかしこのシステムは結局完成させることはできませんでした。
 そうこうしているうちに資本金がなくなってしまい、ネットでシステムを組める人を探しました。会社に頼むと高いお金がかかりますから、個人でシステムを請け負ってくれる人を「大阪」「システム」というキーワードで検索したのです。幸い最適な人が見つかり、売上げの数%を支払うという条件で契約してシステムを完成させ、ようやく事業を始めることができました。
 営業は最初はダイレクトメールで行いました。楽天などのショッピングサイトに出店している会社に、メールで広告を出しませんかという案内を送ったのです。始めた時期が良かったのでしょう、最初からかなりの反響がありました。通常、広告主からいただく1クリックの料金を、競合相手が200円だとすれば180円というように安い価格を提示しました。また広告代理店への1クリック当たりのマージンも、他社が20円なら40円にしました。「メルマ」「まぐまぐ!」などメールの発行元への広告掲載料も同じく他社より高い金額を支払うと約束しました。つまり、徹底的に価格で勝負したのです。

先様の先を読む

 結果、広告出稿が殺到し、設立して半年後には月1,500万円から2,000万円を売上げるようになっていました。しかし、当初私はキャッシュフローだけしか見ず、「売上げから支払いを引いてお金が残っていれば良い」と思っていました。会計の知識がありませんから、将来の会社のことなど考えず、儲かっている気になっていました。
 当時のインターネット広告はサイバーエージェントやバリュークリックジャパン(現メディアイノベーション)などのクリック保証型ネット広告が主流でした。システムの負荷が少なくて済むのでアドウェイズもクリック保証型を主力にしていたのです。
しかし、しばらくすると広告主からいくつかの不満が聞かれるようになってきました。よく聞いてみると、お客様が欲しいのはバナー広告に対するクリックではなく、その後に会員登録をしたり、商品やサービスを購入するといったアクションを望んでいたのでした。
 そのために、広告主のサイトにある「入力フォーム」のデータ入力完了を記録するシステムが必要でしたが、私たちのシステムはそこまでは対応できなかったので、そのシステムを持っている会社を見つけました。私はただお客様を紹介しようという思いでコンタクトを取ったのですが、先方からは何の回答も戻ってこなかったのです。再度連絡を取ると「御社はライバルだから取引できない」と断られたのです。それならと自分たちで新しくユーザーのアクションに対応するシステムを一から作ることにしました。この後、経費も安く費用対効果がハッキリと出る「成功報酬型」のアフィリエイト広告に人気が移り始め、私たちも2003年半ばにはこのアフィリエイト型広告に全面的に転換します。お客様のニーズの変化を素早く読み、他社に先駆けて本格的にサービス提供に取り組めたと思っています。

(11月28日更新 第4話「人儲け」へつづく) 




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